顔がなかったら、私なんて誰も区別付かない。そんなふうに考えた。
私のIDさえ、あの文字列さえなければ、この現実仮想だなんて矛盾な名前の空間に意味もなさない。
ただ、わたしはそのアイデンティティで自らを売って出た。好きな人は好いてくれるし、嫌いな人は陰口を叩けばいい。陰口を叩かれるのはどうでもいいし、見に行かなければいい。勝手に呟いて、勝手に腐ってればいい。
とやかく言うつもり無いから、好き勝手にさせてくれよ。だからあんたもとやかく好き勝手にしたらいいんだって。人があんたと知れないところで、嫌味でもつぶやいてなよ。私もそうしている。
つま先から頭のてっぺんまで白にならなくたっていい。白じゃないと生きてけれないんじゃなくて、白のままだと塗りつぶされちまうぞ。だから先に自分が自分で染まらなくちゃならないんだ。
方法はいくらでもある。それは自分の痛みに向き合うこと。逃げない。心で全うに受け止めて一度腐るんだ。それからじゃないと、"こっち側"の人間の話をうまく聞き取れないぞ。
腐った人間は君の隣にもいる。隣にもいたんだよ。気がついてないだけで、大なり小なり腐った人間が生きてて、その腐敗度でみんな選定している。だから、腐りきれていない人はすぐに人を煙たがる。食えないと言って、突き放す。逆に、腐った人間はどこまでも人を選別しない。悟りの一種に似ている。
腐ることを怖がっちゃいけない。苦しいのはわかっている。腐ることはそれの幅分、人が見える。腐っている人に屁理屈とか、常識は通用しない。それが自分の理念に合致しているか、していないかで判断する。どうだっていいんだよ、世間なんて。世間は狭い人間の決めることで、君たちはそれに囚われちゃいけない。一週間に一度テレビをつけていればいい。あとは得ネタがなければずっと同じ話ばかりだよ。無駄じゃないか。
君は?何を食えないと言うんだ?