並ばせておいてそれはない、という話。
とあるクリエーターズマーケットで、雪室珈琲を出すブースがあった。
白い天幕に、おしゃれなドリッパーがあって、カウンターの手前のブラックボードにはおしながきが書いてあった。
見たことがないような名前が並び、どんな味がするんだろうとわくわくしながら列に並んだ。
ところがカウンターにたどり着くと、ほとんどのコーヒーは売り切れていた。
これとこれなら出せます、と。店主はほがらかに答えた。
心にささくれができた。
店主の目の前には長蛇の列が並んでいる。
ほんの数秒、おしながきに完売の文字は足せなかったのだろうか。
わたしが後ろに聞こえるように「これとこれだけ残っていて、あとはソールドアウトなんですね」と声を出すと、案の定うしろの二人組が「ないものがあるんだね、変えないと」とごちた。
店主はお湯がなくなることだけを気にしていた。
お湯さえあればコーヒーは出せる。
客の希望には添えないけれど、コーヒーは出せるよ!という感じなのだろう。
違う、そうじゃなくて、まず並ばせる時点であるものないものを周知しないと、メニューの意味がないじゃないか。
二言三言話してみたが、なんだか会話も楽しくなかった。
素敵ですね、と業態をほめてみたが、そうでもないですよ、店舗はないし…とごちたので、おそらく店主の希望は通販で遠くの客に売るよりも、近くの客に店舗形態で売ることなのだろう。
表情はお世辞にもほがらかとは言えない影が見えた。
あと砂糖やミルクも完備されていたが、しっかりとフタをされてカップを渡された。
さらに私の前に出された方が、あたふたとフタを外して入れたあと、捨てる場所に困っていた。
そうゴミ箱が用意されていなかった。
そのゴミはせっせとドリップしつつ接客する店主にいちいち声をかけて渡さねばならなかった。
私もあたふたとフタをはずし、入れる場所にも苦労し、なんとか形にしたあとようやく店主から大丈夫ですか?と声掛けいただいたので、大丈夫です、とほほ笑んで離れた。
きっと何かあっても「私は悪くないと思うけれど…???目当てがなかったことが問題だったの?でももうマーケットも終盤だったし仕方ないと思うのだけど」と思うタイプなんだろう。
クレームを出して、今後の接客に活かしてくださいね、とやりたい気持ちをここで吐き出しておく。
わくわくした時間を返してもらいたい。